外国人事件について思うこと(国選)
「少子・高齢化社会」にともなって、日本国内の労働力不足解消のため外国人が増加するとの指摘があります。そうなると、人数が増加する分、単純に外国人事件が増加すると思います(もっとも、近年の犯罪白書をみる限り、来日外国人の刑法犯検挙件数は、平成17年に過去最多の件数を記録した後は全体的には減少傾向にあるようです)。
勿論、AI(人口知能)の活躍で労働力不足も解消される可能性や高齢者や女性の労働力の活用で、実際上は、顕著な増加がないかもしれません。
しかし、それはともかくとして、外国人事件には、どうしても通訳が必要になってきます。
通訳事件の場合、どうしても①通訳費用、②信頼できる通訳人の確保(倫理的な意味と能力的な意味で)が、問題になります。
②も重要な問題ですが、弁護活動をしていく上で直ちに問題となる①の通訳費用について、少し考えたいと思います。
国選の刑事事件の場合、現状、法テラスを利用することになりますが、法テラスでは、通訳事件の場合、とりあえず国選弁護人が通訳費用を立て替える形になっています。
しかし、これが意外に馬鹿にならない金額です。簡単な自白事件ならともかく(それでも相当回数の接見が必要と思いますが)、否認事件など受けたりすると、差し入れする事件記録も翻訳が必要ですし、接見時間も長くなり、通訳費用が増加していくことになります。それを、原則として弁護人が先払いしなければならない形になります。
元々、国選費用は後払いで、かつ、それほど高額ではないのに、先に相当額の負担(支払い)を弁護人に求める現在の制度の在り方は、おかしいのではないかという疑問が拭えません。
法テラスが通訳人に直接支払う形にするには、法改正が必要とのことですが、外国人刑事事件に対する弁護活動を充実させるためにも、通訳費用を弁護人に負担させる(たとえ一時的であっても)現行制度は、早急に改正する必要があるのではないかと思っています。