家族(身内)が逮捕されたらどうするか
突然、逮捕された家族(身内)に面会するために逮捕直後に警察署に行っても会わせてもらえないのが普通です。また、勾留後も接見禁止がついていたりすると会わせてもらえないこともあります。その間、家族としては逮捕された身内がどうなっているのか知ることができません。
※ 大まかにいうと逮捕した後、72時間以内に勾留請求しない場合には被疑者を釈放しなければならないため、通常、その時間内に勾留請求がなされます。勾留請求がなされて、勾留決定が出ると通常は10日から20日程度身柄を拘束されます。
もっとも、最近では各弁護士会において、身柄を拘束された被疑者からの要請に応じて接見に行く制度(当番弁護)があり、逮捕された被疑者が弁護士を呼ぶことができます。そのため、当番に行った担当弁護士が逮捕された身内(被疑者)の事情を教えてくれたりすることはあると思いますし、当番に行った弁護士がそのまま弁護人に就任するということもあると思います。
ただ、その場合であっても、逮捕された身内の事情がわかるのは、少し、時間が遅くなってしまいます。一刻も早く事情を知りたいというのであれば、家族(身内)の方が弁護士を依頼するということを考えても良いかもしれません。また、できるだけ早い段階から弁護士がつくということは、不当な自白強要を防止できるという意味でも重要です。
※ 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができます(刑訴法30条2項)。
問題は、家族(身内)の方が弁護士をどのようにして依頼したらよいのかということだと思います。知り合いの弁護士がいれば良いのですが、いないことも多いかもしれません。近時は、インターネットを検索すれば多くの弁護士が出てくるので、地域などによって、絞り込んで依頼をするというのも一つの方法です。
ただ、地域や取扱い業務などをインターネットで調べて、ある程度絞り込んだとして、それでも、さらに、どの弁護士に依頼したら良いのか、という悩みが生じるのではないかと思います(病気になったとき、多くの病院の中でどの病院に行ったら良いのかと同じような悩みですが)。
なかなか難しい問題ですが、私は以下のように考えています。
仕事で取引するときも同じだと思うのですが、実際は、その取引先の営業の人が信頼できるということで、購入していることも多いのではないでしょうか。高い買物であればあるほど、売主の人柄が、気に入って購入していることも多いと思います(実際は、購入してみないと、良いものか、どうかわからないけれども、この人が言うのであればたぶん間違いはないのではないか、というような心理)。いろいろなファクターはあるかもしれませんが、最後は、「この人は信頼できる人かどうか」という観点で取引を決めているのではないでしょうか。
弁護士に依頼するときも、同じだと思います。最後は、やはり「信頼できる人かどうか」というところが、重要だと思います。何をもって信頼できる人と考えるのかは、依頼しようとする人のこれまでの経験則によって決まると思うのですが、個人的には「事件全体の状況を十分に聞き取った上で、依頼しようとする人の利益を本当に考えていると感じとれるのかどうか(勿論、法が許容する範囲内ですが)」ではないかと思っています。
最近は、初回無料相談にしている事務所も多いと思うので、何人かの弁護士に相談をしてみて、自分が経験則上信頼できると思った人に依頼するのがベターではないか、と思います。
ひとつだけ、注意をするとすれば、依頼する前に、少し冷静に考える時間をとっていただきたいということです(一度、弁護士事務所から離れて、誰かに相談するなり、一晩考えるなり、冷静に考えるべきだと思います。)。
いずれにしても、弁護士であれば、逮捕直後の接見が可能ですし、土日の接見も可能です(時間の制限も基本的にありません)。身内の方が逮捕された場合は、依頼されるかどうかはともかく、一度、弁護士にご相談されることをお勧めしたいと思います。