面会交流と間接強制(2)
(1)で検討したように、判例は、面会交流が履行されない場合に間接強制の適用可能性を肯定している(最高裁平成25年3月28日決定【民集67巻3号864頁】)。この場合、面会交流を拒絶する子どもの心情はどのように手続きに反映されるのであろうか。
前記の最高裁判例は、審判時と異なる状況が生じたといえるときは上記審判に係る面会交流を禁止し、又は面会交流についての新たな条項を定めるための調停や審判を求めるなどの方法をとるべきであると指摘し、間接強制手続における債務者審尋、請求異議の訴えなどの方法については触れていない。
間接強制の申立てをすることが権利濫用または信義則違反となる場合には請求異議事由に該当し、請求異議の訴えによることができるとする見解もある。
しかし、多くの見解が指摘するように、すでに面会交流を定める調停または審判において子の福祉に関する慎重な判断がなされているので、迅速な権利実現の役割を果たすべき執行段階において、簡単に子どもの福祉の名目において、子の心情等に配慮するのは妥当でないであろう(子どもが本当に拒否しているのか実際のところは判断が困難だからである)したがって、審判が確定した後に、子どもがどうしても面会交流に拒否的であるというのであれば、事情変更による面会交流禁止の再調停または審判を申し立てるのが筋であろう。この場合であれば家庭裁判所調査官の意向調査が可能であり(家事手続法58条、258条1項)、子どもの意向も慎重に検討できるからである。ただ、「物」ではない「子ども」が執行の対象であるから、明らかに面会交流を認めるのが相当でない緊急の事情が事後的に明白になったというような例外的な場合には執行段階においても考慮すべき場合があるように思える。それは事案によって判断するしかないと思われる。